つながり
誰かにしてもらったことや言ってもらった言葉は今でも覚えている。忘れたのもあるんだろうけど圧倒的に覚えている。
春は別れの季節だ。23年いた地元を離れることが決まり、家族や親戚の労いの言葉や友達との関係、バイト先の人のことを改めて思う。
愛されていた。そこまでしなくてもいいのにと思うことまで。自分が関わる人なんて当たり前に自分の味方しかいないんだけど、ほんと恵まれていた。
別れる寸前になんとなく今までの関係は分かる。現実的で薄情なやつだから「俺なんかにそんな言葉を使わないでくれ」と思わず言ってくれた言葉に対して真っ直ぐその人の目を見ることが出来ずに目を伏せてしまう。自分がそんな顔をさせたくない。もっと嫌味の一つか二つでも溢してくれた方が楽だったりもする。
そんな人たちの為に結局出来ることは、俗に言う恩返しと言った意味合いでもなく俺自身がもっとデカい人間になることだと強く思う。想いを通じた優しさを背負っていくこと。そしてその想いを未来の自分の関わる誰かにまた繋げて優しくなることだと思う。
直接出来ることは少ないし限界がある。現実的に考えてその日は感極まっているけど、案外人は適応するし徐々にお互いがいない日々にも慣れていく。
だからこそ自分がほんの少しでも想いを紡いで大きな人間になることで、結果的に関わっている人や関わっていた人たちの価値や肯定にも繋がると思っている。